自分が今必要な情報はいまやGoogleやYahooで検索すれば大方出てくる時代になりました。
スマートフォンの普及で老若男女身近になったこの検索サービスは今後も更に充実していくことでしょう。
ところで、最近このインターネット検索に対して情報銀行というキーワードが出てきています。
情報銀行とは何か？
そこで今回は情報銀行についてインターネット検索との違いや利用する上でのメリット・問題点などを確認していきたいと思います。
情報銀行とは？
情報銀行とは、個人情報を収集し、第三者に提供する事業者のことを指します。
具体的にはまず、個人が年齢や性別、商品の購買履歴と言った情報を情報銀行に提供します。
情報銀行はその個人情報を同意を得た範囲内で第三者（企業）に提供し、第三者はその情報を元に各個人に有益な情報や第三者が取り扱う商品の紹介を行うなどして個人が便益を受けられる仕組みです。
概略すると以下の図のような情報の流れになります。
日本IT団体連盟が政府の指導の下、情報銀行の認定制度をつくり、2019年3月にもその条件を満たす事業者（情報銀行）の認定が始まります。
このように、情報銀行サービスが本格的に稼動する運びとなってきました。
情報銀行のメリット
情報銀行のメリットは、必要な範囲内で個人情報を提供しておけばその情報を利用する第三者企業から自分の欲しい情報や商品の紹介を受けられるという点にあります。
GoogleやYahooのようなインターネット検索であれば自分から検索して必要な情報を得るのに対し、情報銀行は検索しなくても情報が提供されるといった点が大きく異なります。
つまり、今後はインターネット検索の手間が発生することなく自分が欲しい情報が得られる可能性が大いに出てきたということです。
インターネット検索はすぐに必要な情報にたどり着くこともあれば、なかなか欲しい情報にたどり着かないこともあり、検索に費やした時間が無駄になることもあります。
検索しなくても自分に必要な情報が提供されるというのは、必要な情報が必要なタイミングで提供されると言うことで変化の激しい今の時代、非常に有意義なサービスだと言えるでしょう。
情報銀行の問題点
このように、情報銀行は個人の情報格差をなくしていくという点でも優れた仕組みと思われますが、少なからず問題点もあります。
1.個人情報漏えいによるプライバシー侵害はないか？
情報銀行を認定する日本IT団体連合は、情報銀行はもちろんのこと、情報銀行から個人情報を受け取る企業にも情報銀行と同水準のセキュリティ体制を求めています。
具体的には、「プライバシーマーク」の取得や情報セキュリティ国際規格「ISMS」などの取得が個人情報を受け取る企業側にも必要になります。
したがって、個人情報の取り扱いは情報銀行および情報を受け取る企業双方共に同レベルの高い水準で取り扱われることになるので、個人情報漏洩のリスクは通常よりも少なくなっていると言えるでしょう。
2.情報銀行の認証を受けている事業者間にサービスレベルのばらつきは発生しないか？
情報銀行の認証を受けたからと言ってもそれは、情報銀行として個人情報を扱ってもよいという一つの通過点に過ぎません。
認証後に個人情報の取り扱いに関するレベルが高く保たれないと、情報銀行全体の信用失墜につながってしまいます。
そこで、情報銀行間のサービスレベル向上のために格付け制度を設け、情報銀行間の信用度を客観的に評価する仕組みが必要になると思われます。
まとめ
日本政府はGoogleなどの米大手IT企業がデジタル社会を席巻する中で、日本でもそれに対抗するデータ産業の育成とそれに不可欠なプライバシー保護の両立のために情報銀行を推進しているようです。
日本にいまだ根付いていないデータ産業を育成し、世界中でデジタル化が進む状況に対応していくため、そして日本経済の発展のために政府のこの施策は必要不可欠なことでしょう。
情報銀行は顧客の利便性を格段に向上させるメリットとは裏腹に個人情報漏洩という危険性もあるということを情報銀行および利用者双方が十分理解し、情報銀行の社会的信用の絶対的な維持拡大を常に追求していけばよりよい高度情報化社会を私たちは生きていくことができるのではないかと思います。
参考文献：日本経済新聞 2019年3月11日