10月1日の消費増税を控え、増税による購買意欲の減退をカバーするため、政府はキャッシュレス決済の普及と抱き合わせてポイント還元を行ったり、低所得者をターゲットにプレミアム商品券を準備したりと様々な景気対策を実施しています。
皆さんの中にも、消費税増税前に食品や日用品の買いだめを実施して消費税の負担を軽くしようとしている方もいらっしゃると思います。
しかし、買いだめで本当に得になるのは誰か?
考えたことはあるでしょうか?
今日は消費税増税前に気をつけるべきポイントを押さえたいと思います。
消費税のしくみを知る
まず、消費税の仕組みについて確認してみましょう。
出典:財務省 もっと知りたい税のこと
https://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei3006/05.htm
消費税とは、私たちが商品やサービスを購入した時に課税される税金です。
上図のように最終的に消費者が全額税を負担することから「消費税」と呼ばれています。
所得税のように収入の多寡におおじて税負担が増減するのとは異なり、消費税は所得の多寡に関係なく一律に課税されることから、特に収入の少ない低所得者層に負担の重い税金です。
したがって、増税後に商品を買えば、増税前よりも手元の現金は多く出ていくのですから、税率が上がらない今のうちに買いだめしようという気持ちも理解できるわけです。
消費税は「預かり金」
ところが、消費税のもう一つの特徴として、卸売業者や小売業者など、商品・サービス販売の中間にいる業者は事業に必要な仕入・経費で支払った消費税を販売先から預かった消費税から控除して国に納める仕組みがあります。
先ほどの図を例に卸売業者の立場から見てみましょう。
まず、卸売業者が製造業者から5,000円で商品を仕入れ、400円の消費税を支払いします(1)。
次に(1)の商品を小売業者へ7,000円で販売し560円の消費税を小売業者から受け取ります(2)。
国へ納める消費税は(2)の560円から(1)の400円を差し引いた160円となるのです。
つまり、販売先から預かった消費税から仕入れ先へ支払った消費税を差し引いた残りを納税すればよいのです。
これが消費税が「預かり金」と呼ばれる理由です。
要するに計算上手元に残る消費税だけを払えば良いわけです。
食品販売業を営む事業者の中には2019年10月からの増税で販売時は8%の軽減税率であるのにもかかわらず、10%の仕入れとなるものがあれは手元の現金が減って損するのではないか?という疑問を持たれる方がいらっしゃいます。
しかし、上記のとおり10%の仕入れ時に支払った消費税もすべて8%で預かった消費税から控除できる訳ですから、結論としては中間業者の消費税負担がが今回の増税によって上がることはありません。※
※消費税の免税事業者の場合は上記の内容と異なりますので、詳しくは税理士等の専門家にお尋ねください。
まとめ
以上のように今回の消費税増税によっても、小売業者や卸売業者などの事業者の税負担は増えません。
今までどおり、複数税率になったとしても税負担が大きくなるのは末端の消費者になります。
ただし、食品については軽減税率8%の適用を受けますので、傷みやすい食品の買いだめに走る必要はないと言えるでしょう。
ティッシュペーパーなどの日用品は税率10%になるので、これらは9月中に買っておいても損はないでしょう。
いすれにしても、消費税を正しく知って余計な労力や時間・お金を費やさないことが大切です。