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食料品対象の軽減税率、難しい線引きに消費税増税で増える現場の負担

消費税が2019年10月から10%に引き上げられるのと同時に軽減税率制度が導入されます。

 

この制度は、生活必需品である食料品に限定してこれらの消費税を据え置くというもので、国民の増税負担感を緩和しようとする政府の政策です。

 

この趣旨自体はいいと思うのですが、食料品に限定していることで様々な問題点も浮上しています。

 

そこで今回は、その問題点と対応方法を確認していきたいと思います。

 

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軽減税率とは?

軽減税率とは、2019年10月から施行される消費税10%増税の際、生活必需品である食料品に限定してこれらの消費税率を8%に据え置くというものです。

 

消費者の立場からすれば、毎日購入する食料品の負担アップは家計に大きく響きます。

厚生労働省の「平成30年賃金構造基本統計調査」(※1)によれば、平成11年の男女合計平均賃金が300,600円が平成30年には306,200円と20年間で賃金はわずかに6,000円弱しか上昇していません。

このように、賃金がさほど増えていない現状では、使えるお金が減ってしまい、増税によって買い控えが発生します。

 

※1 出典 厚生労働省「平成30年賃金構造基本統計調査」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2018/dl/01.pdf
買い控えは企業生産が縮小し、賃金上昇にもブレーキがかかるだけでなく、更に価格下落を招くデフレスパイラル(悪循環)の状況になりかねません。

このように、経済が縮小するというのは国としては望ましくない状況です。

 

そこで、消費税10%増税後も食料品だけは消費税を据え置き、各世帯で家計への負担感を抑えると共に景気への影響を最小限に抑えようということを目的としているのです。

 

ところが、食料品だけが消費税率8%ということは、10月以降8%の税率と10%の税率が複数存在することになります。

消費税率が複数存在することによって問題点が多々指摘されています。

 

コンビニでの飲食は10%?

食料品の消費税は8%なのですが、同じ食料品でもレストランなどの外食や購入した商品を店内で食べるマクドナルドのようなイートインは軽減税率の対象になりません。

つまり、これらの消費税は10%なのです。

 

コンビニエンスストアで購入した食料品を店内のカフェスペースで食べる場合も消費税は10%となります。

同じ食料品の購入であるのに8%課税する場合と10%課税する場合が出てきます。

「持ち帰ります」といって購入したものを店内のカフェスペースで食べた場合はどうするのか?

 

差額の消費税を後でお客様からいただくということは会計が済んでいる以上、現実問題難しいでしょう。

 

同じものを購入して消費税が異なるのは何か納得いかないところですね。

 

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マクドナルドのおまけつきハンバーガーは10%?

マクドナルドの「ハッピーセット」のようなハンバーガーに子供向けのおまけがついている場合も軽減税率の対象になるか問題が発生します。

 

ハンバーガーはテイクアウトすれば食料品なので8%、しかし、おまけは食料品ではないので10%です。

 

しかし、これらをセットで販売する場合の税率はどちらなのでしょうか??

この場合は、マクドナルド側がおまけを0円としてセット販売することで軽減税率の対象となったそうです。

 

このように他にも軽減税率の対象になるのかどうか判断しづらいものについて、国税庁からQ&Aとして情報提供されています。

 

出典 国税庁「消費税の軽減税率制度に関するQ&A」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/03.pdf

 

軽減税率は8%と10%の線引きが難しい

以上のように、食料品でも8%になったりならなかったりするので、10月の施行時には間違いなく現場で混乱が発生するでしょう。

 

そもそも、こんなに複雑な制度を現場が理解し、実行することができるのか?

しかも、複数の税率が存在する以上、このような8%と10%の線引き問題は今後も増えていく可能性があります

 

その時々で、販売現場がどちらの税率か対応するのはかなりの精神的負担につながると考えられます。

 

食料品は全て8%で対応するのがわかりやすい

税金は公平性が保てないと消費者の理解が得られず、長続きしない可能性があります。

 

軽減税率の問題点について、私は次のように対処したらよいのではないかと思います。

 

1.ファストフードのように店内飲食・持ち帰りによって同じ商品の購入で複数税率が存在するというのは混乱の原因になるので、そのような仕切りをやめ、食料品の購入は全て8%にする

2.食料品をセットで販売している場合は10%の付帯品があったとしても、全て一律8%とする

これは抜け道として、「自動車を購入するのに食料品のおまけをつければ自動車の税率は8%」などという販売の仕方で課税回避をすることも考えられますが、これは消費の目的がどちらが主かで判断すればよいと思います。

この場合であれば、「自動車を買うことが消費の目的なのでその目的に沿って10%の課税」というようにするといいのではないでしょうか。

 

以上のように、食料品が少しでも関わる購入であれば8%で課税するのが一番理解されやすいです。

お金のことなので、シンプルにわかりやすくして欲しいと思うのです。

 

毎日の生活に大きく影響する今回の消費増税、税自体の負担感の軽減もそうですが、軽減税率の運用上も負担感を減らしていくようにしていただければと感じます。

 

参考文献:日本経済新聞 2019年4月3日

 

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